糖尿病足病変

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糖尿病足病変は、糖尿病患者においてよく見られる合併症の一つであり、末梢神経障害(ニューロパチー)や末梢動脈疾患(PAD)によって引き起こされます。この病変は、足に潰瘍が生じ、適切な治療を行わない場合、感染や壊疽(えそ)に進展し、最悪の場合は足の切断に至る可能性があります。

■糖尿病足病変の主な症状

1. 神経障害(ニューロパチー)
・糖尿病による高血糖状態が長期間続くことで、末梢神経が障害されます。これにより、痛みや温度変化に対する感覚が鈍くなり、足に傷ができても気づきにくくなります。

2. 血行障害
・糖尿病は動脈硬化を促進し、足の血流を悪化させます。血行不良により、傷の治癒が遅れ、感染リスクが高まります。

3. 免疫力の低下
・糖尿病患者は免疫機能が低下しており、感染症に対する抵抗力が弱くなります。

その他の症状には以下のものがあります。

– 足にできる潰瘍や傷
– 足の腫れ、発赤、熱感
– 足の皮膚の変色
– 感覚の低下や麻痺
– 重症の場合、壊疽(えそ)や足の変形

糖尿病足病変の診断は以下の方法で行います。

1. 視診・触診
足の皮膚状態、傷の有無、変形などを確認します。
2. 血行検査
足の血流を測定し、動脈硬化の程度を評価します。
3. 神経検査
感覚テストを行い、末梢神経障害の程度を評価します。
4. 画像診断
X線、MRI、CTなどで骨や軟部組織の状態を確認します。

■治療

糖尿病足病変の治療は多面的に行います

1. 血糖コントロール
適切な血糖管理が重要です。食事療法、薬物療法、インスリン療法などを組み合わせます。
2. 傷の管理
傷の清潔を保ち、適切なドレッシングを行います。感染が疑われる場合は抗生物質を使用します。
3. 血行改善
動脈硬化の治療や血流を改善するための治療を行います。
4. 免疫強化
ビタミンやミネラルの補給、適切な栄養管理を行い、免疫力を高めます。
5. 外科的治療
壊疽が進行している場合は、外科的切除や再建手術が必要になることがあります。
6. リハビリテーション
リハビリテーションは、治療と予防の両方において重要な役割を果たします。
・オフローディング(Offloading): 特殊な靴やインソール、ギプスを使用して患部への圧迫を軽減させます。これにより、潰瘍の治癒を促進し、新たな病変の発生を防ぎます。
・体重管理:足への負担を軽減するため適正体重を維持し、血行改善や傷の治癒を助けます。
・運動療法:ストレッチングや軽度な有酸素運動を行うことで、下肢の血流を改善し、組織の酸素供給を促進します(血流改善)。また、足や下肢の関節可動域練習(関節を動かす運動)や筋力トレーニングを行い、歩行機能の維持や回復を目指します。近年では、足関節の背屈制限が歩行時の高足底圧の原因となることが知られています。足関節背屈可動域の改善のために、下腿三頭筋ストレッチングと前脛骨筋の筋力トレーニングを行います。
※2022年4月より『糖尿病足病変』が運動器リハビリテーションの適応疾患に加わったため、理学療法士が個別にリハビリテーションを行うことができるようになりました。

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