症状
変形性膝関節症は関節軟骨が徐々に衰えて戻らない疾患で、長期にわたって進行します。本邦では自覚症状のある変形性膝関節症患者は約1000万人、潜在的な患者数を含めると約3000万人と推測されています。
主症状は疼痛であり、これに炎症を伴う腫脹や跛行(歩き方の異常)などの機能障害が加わります。さらに進行すると膝関節の可動域制限、筋力低下、変形などが認められるようになります。
- 初期
立ち上がりや動き始めに痛みを感じる(始動時痛)ことが多く、少し休めば治まることが多いです。 - 中期
正座や階段の昇り降り(特に降り)が困難になってきます。膝関節の可動域制限により日常生活動作でも支障が出てきます。 - 末期
進行すると軟骨がすり減り、骨同士がこすれることで骨のとげ(骨棘)ができ、安静にしている時(安静時痛)や寝ている時(夜間時痛)にも痛みを感じ、睡眠に影響が出る場合もあります。膝の変形(特にO脚)が目立つようになり、膝関節の痛みや可動域制限によって歩行も困難になってきます。日常生活での活動量が低下することで筋力も低下していきます。高齢者ではうつや認知症のリスクも高まります。
原因
変形性膝関節症の主な原因は、加齢による膝関軟骨の変性と摩耗です。変形性膝関節症を有している方の割合は男女とも50~60歳代で高くなり、特に女性の60歳代からは過半数以上が変形性膝関節症との報告もあります。
要因
- 年齢
- 性別(女性)
- 骨粗鬆症
- 筋力低下
- 遺伝的素因
- 肥満、急激な体重増加
- 身体的負荷の高いスポーツや職業
- 膝関節の外傷歴 など
治療
- 初期
保存療法を中心に行います。鎮静剤の内服や外用薬などの薬物療法、運動療法や生活指導を行うリハビリテーション、靴の中敷き(インソール)や膝関節装具を使用する装具療法などがあります。 - 中期
初期で行うような保存療法を行っても効果が少ない時は、関節鏡手術や高位脛骨骨切り術などの手術療法が選択されます。 - 末期
中期と同様に、保存療法でも効果が少ない時は手術療法が選択されます。末期になると関節の変形が強くなることが多いため、変形を矯正できる人工膝関節置換術が行われことが多いです。
以前は、人工膝関節置換術は耐用年数を考慮して、60~65歳以上が手術の対象でした。
現在では手術方法や手術機器の改良により耐用年数が伸びているほか、人工関節を再び入れ替える手術(人工関節再置換術)も以前よりは困難な手術ではなくなってきています。そのため、人工膝関節置換術以外での有効な治療がなく、再置換の可能性を了承されれば年齢制限なく手術を行う事例が増えています。
ご家庭でできること
変形性膝関節症の要因にはご自身でコントロール可能なことと、コントロール困難なものがあります。年齢や性別、遺伝的素因、膝関節の外傷歴はコントロールすることは難しいです。
コントロールできる要因で特に重要になるのが肥満、急激な体重の増加です。肥満は改善可能な変形性膝関節症の危険因子であり、症状の軽減のみならず、進行を予防することにも有効です。
筋力低下に対しては、等尺性での大腿四頭筋のトレーニング(クワドセッティング)は従来から推奨されていましたが、近年では股関節周囲の筋肉のトレーニングの重要性も示されています。
スポーツでは、競技レベルのランニングは発症リスクが上がりますが、レクリエーションレベルであれば有効です。
始動時痛や日常生活で膝の違和感を多く感じるようになりましたら、整形外科を受診してください。
クリニック名 | ときわ台ときわ通りクリニック |
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