症状
足首の痛みや腫れの多くは、足首を内側(内反)に捻ってしまったときに起こります。捻ってしまったときに、足首の靱帯が無理に伸ばされたり、完全に切れてしまうこと(足関節捻挫)以外に、靱帯の付着部が剝がれて骨折(剥離骨折)をすることもあります。内反捻挫では、外くるぶしに付着する靱帯(前距腓靭帯、踵腓靭帯、後距腓靭帯)を損傷します。
足関節捻挫の重症度は、靱帯の損傷の程度によって主に I度(軽度)・II度(中等度)・III度(重度) に分類されます。
- 足首の痛み
- 腫れ(はれ)
- 内出血やあざ
- 足関節の不安定感
- 歩行困難
- 足関節の可動域制限(動かしにくい) など
足関節捻挫の重症度分類
Ⅰ度(軽度)
- 靱帯が一時的に伸びた状態(微細な損傷)
- 靱帯の断裂なし
- 軽い腫れと痛みのみ
- 歩行は可能
- 足関節の不安定感はなし
- 治癒期間:約1〜2週間
Ⅱ度(中等度)
- 靱帯が部分的に断裂
- 腫れ・痛み・内出血が見られる
- 動きにくく、歩行が困難なことも
- 軽度の足関節の不安定性あり
- 適切な固定やリハビリが必要
- 治癒期間:約3〜6週間
Ⅲ度(重度)
- 靱帯が完全に断裂
- 強い腫れ、広範な内出血、激しい痛み
- 足をつけない(非荷重)
- 明らかな足関節の不安定性
- 場合によっては手術が必要
- 治癒期間:2~3ヶ月以上(リハビリを含む)
原因
- 不整地(芝生やデコボコな地面など)や段差での転倒
- 運動中のジャンプや着地ミス
- ハイヒールや不安定な靴を履いたとき など
治療
治療は、重症度と時期によって変わります。
特に内反で損傷した靱帯は、足首を内返ししてしまうと靱帯が伸びきった状態になってしまい、将来的に足首が不安定(グラグラする)になりやすくなります。それを予防するために初期治療での固定が大切になります。
回復期では、固定を外して徐々に足首を動かしていきます。固定は2~3週間行う事が多いため足首の可動域制限(動く範囲が狭くなる)や筋力低下を起こしやすくなります。また、深部感覚(自分の体の位置や動きを感知する感覚)の低下も起こしやすくなるためバランス練習なども大切になります。
足関節捻挫は繰り返す方が多いため予防も大切です。
急性期(受傷直後〜数日)
- RICE処置(Rest:安静、Ice:冷却、Compression:圧迫、Elevation:挙上)
※近年ではアイシングに関しての有無が議論されているため、正しいRICE処置方法の指導を受けることをお勧めします
- 痛み止めや消炎鎮痛剤の使用
- 固定(軽症だとテーピングやサポーターを使用し、中等度以上だとギプスやシーネで固定します)
- 痛みが強かったりギプスやシーネで固定するときは松葉杖を使用する
回復期(数日〜数週間)
- リハビリ(関節可動域練習、筋力強化、バランス練習)
- 物理療法(温熱、超音波、電気刺激など)
- 段階的な運動復帰
重度の場合
靭帯の完全断裂や関節の不安定性が強いときは手術が必要になることもあります。
再発
足関節捻挫では再受傷を繰り返すことがあります。
そのため再発予防も大切になります。
再発しやすい理由
- 十分な靱帯の治癒がされないまま復帰
- 可動域制限の残存、筋力不足やバランス感覚の低下
- 足関節捻挫を繰り返すと靱帯が緩んで関節が不安定になる
- 正しいリハビリや予防策が不十分
再発を防ぐために
- 正確な重症度の評価と段階的な運動復帰
- 適切な足関節の可動域、筋力やバランス能力の再獲得
- テーピングやサポーターの使用
- 靴選び
痛みが強く歩行が難しいとき、また軽度でも腫れがある場合は、整形外科を受診してください。