ピックルボールで多いケガとは?足首・膝・肘の痛みを防ぐためのポイントを解説

コートに立って数回ラリーしただけで、「運動不足の自分でもいけそう」と感じる。穴あきボールはふわりと飛んで、パドルも軽い。それで油断するのか、始めて数週間で足首をひねった、ふくらはぎがピキッときた、という相談が20代や30代からも届きます。ピックルボールはバドミントンと同じ広さのコートで、教われば1時間ほどでラリーが続くようになります。ボールは穴あきで、風を受けて勝手に失速する。だから力任せに打っても扱える。すぐ楽しめるのが人気の理由です。

やさしいのは入り口だけです。前後左右への急な切り返し、止まってからの蹴り出し、後ろへ下がりながらのショット。狭いコートの中で、こういう動きが何度も繰り返されます。運動に自信のある人ほどウォームアップを飛ばして全力、そこで痛める。よくある流れです。若い世代に多いケガと、その避け方を書いておきます。

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ピックルボールはなぜケガをしやすいのか

ピックルボールは比較的始めやすいスポーツですが、実際には瞬発的な動きが多く、関節や筋肉へ大きな負担がかかることがあります。

見た目以上に瞬発的な動きが多い

ピックルボールはバドミントンコートと同じ広さで行われますが、前後左右への細かなステップや急停止、急な方向転換を何度も繰り返します。狭いコート内で素早く反応する必要があるため、筋肉や腱、靱帯には想像以上の負荷がかかっています。

始めたばかりの時期ほど注意が必要

慣れた頃より、始めて間もない時期のほうが危ない。体がまだ動きを覚えていないからです。テニスやバドミントンをやってきた人でも、ピックルボールのコートは狭くてステップが細かく、方向転換が急。頭で思った動きに足がついてこないまま全力を出すと、関節や伳に負担が一気にかかります。それと、楽しいとつい長くやってしまう。連日2時間、なんてことも起きる。筋肉も伳も、増えた負荷にすぐには順応できません。張り切った数日後に肘や膝が痛みだす、というのはこのパターンです。

楽しさから運動量が増えやすい

ピックルボールはラリーが続きやすいため、気づかないうちに長時間プレーしてしまう方も少なくありません。筋肉や腱は急激な負荷増加にすぐ適応できるわけではなく、連日のプレーによって痛みや炎症が起こることがあります。

外来でよく見るケガ

ピックルボールではどのようなケガが起こりやすいのでしょうか。

いちばん多いのは足首の捻挫です。サイドステップや急停止で足の外側に体重が乗って、ぐねっといく。たいしたことないと放置されがちですが、靭帯が伸びていたり部分的に切れていたりすることもあって、繰り返すうちに捻挫しやすい足首になっていきます。ふくらはぎとアキレス伳も多い。後ろに下がりながら打つ瞬間や、前へ踏み出した一歩で、ふくらはぎが切れるように痛む。アキレス伳はもともと丈夫ですが、瞬発的な動きが集中すると炎症を起こします。ここを我慢して続けると、断裂までいくこともある。膝は、切り返しやひねりで半月板や靭帯を傷めることがあります。プレーのあとに腫れる、階段を下りるとき力が抜ける感じがする。そんなときは続けないほうがいい。肘と肩は、たいてい使いすぎです。パドルでボールを弾く動きを繰り返すと、肘の外側に負担が溜まる。いわゆるテニス肘と同じ状態です。頭の上から打ち込むショットを多用する人は、肩の伳を傷めやすい。どちらも「痛いけど、まだ打てる」くらいのうちに休めるかどうかで、その後がだいぶ変わります。

ケガを減らすために

大げさな道具も特別なトレーニングも要りません。効くのは、地味なことばかりです。
プレー前に体を温める。5分で十分です。その場で軽く走って、足首を回して、ランジを何回か、肩を大きく回す。止まったまま伸ばすより、動かしながら温めるほうが、急な動きに体がついてきます。靴も意外と効きます。ランニングシューズは前へ進む動きに向いていて、横のブレに弱い。ピックルボールは横の動きが多いので、テニスやバドミントン用のコートシューズのほうが安心です。足首が支えられるだけで、捻挫はかなり減ります。最初から飛ばさないことも大事です。楽しくても、はじめのうちは週2~3回、1回1時間くらいに抑えて体を慣らす。痛みが出なければ少しずつ増やしていけばいい。この「少しずつ」が、後々の故障を防ぎます。余裕があれば、下半身と体幹を少し鍛えておくといい。スクワットや片足立ち程度でも、急な切り返しに耐える土台になります。普段あまり運動していなかった人ほど、効果を感じやすいところです。痛みを放置しないこと。これがいちばん効きます。プレー後に腫れる、翌朝になっても痛い、ある動きだけ力が入らない。「そのうち治る」と動き続けると、軽い炎症が長引いたり、小さな傷が大きくなったりします。

長く楽しむために

ピックルボールは、年齢も運動歴も関係なく楽しめるスポーツです。若い人は回復も早くて、ちょっとした痛みなら数日で引くことも多い。それがかえって、痛みを軽く見て動き続ける原因にもなります。腫れや痛みが何日も続く、力が入らない、同じところを何度も痛める。そういうときは、自分で様子を見るより、整形外科で一度診てもらったほうが結局は早い。早く気づけば、休む期間も短くて済みます。

準備をして、無理をしない。それだけで、ピックルボールはずっと長く付き合えます。

 

まとめ

ピックルボールは気軽に始められるスポーツですが、足首の捻挫やふくらはぎの肉離れ、膝や肘の痛みなど、若い世代にもさまざまなケガが起こることがあります。

特に始めたばかりの時期は、体が動きに慣れておらず、思わぬケガにつながることがあります。ウォームアップや適切なシューズ選び、運動量の調整を行いながら、無理なく楽しむことが大切です。

また、痛みや腫れが続く場合には我慢せず、早めに整形外科へ相談しましょう。適切な診断と治療によって、スポーツを長く続けるためのサポートが可能です。

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この記事の監修医師
ときわ台ときわ通りクリニック
整形外科専門医堂園 隼人

整形外科専門医として長年にわたり臨床診療に従事し、肩関節疾患、椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症、変形性膝関節症など整形外科領域の幅広い症例に携わってきた。また、症状の緩和にとどまらず、機能回復や再発防止までを見据え、治療からリハビリテーションまで一貫した整形外科医療を実践。最新の医療技術や治療法の知見も積極的に取り入れながら、専門医として質の高い診療の追求を続けている。

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