糖尿病は治らない。それでも改善できる理由を解説

糖尿病は治らない。それでも改善できる理由を解説

糖尿病は「一度発症すると治らない病気」と耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。「薬を飲み続けなければいけないの?」「血糖値が下がっても治ったわけではないの?」「このまま悪化してしまうのでは」といった不安を抱えながら過ごしている方も少なくありません。

確かに糖尿病は、風邪のように短期間で完治する病気ではなく、長期的な管理が必要な疾患です。しかし一方で、適切な治療や生活習慣の改善によって血糖値が安定し、健康な状態を維持できるケースもあります。

大切なのは、「治らない」と悲観するのではなく、病気を正しく理解し、早めに向き合うことです。

本記事では、糖尿病が「治らない」と言われる理由をはじめ、症状や放置するリスク、改善を目指すための治療法についてわかりやすく解説します。また、糖尿病と長く付き合ううえで大切な考え方や、よくある疑問についても紹介しますので、ぜひ参考になさってください。

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糖尿病は「治らない」といわれる理由

糖尿病は「治らない」といわれる理由

糖尿病と診断されると、「このままずっと糖尿病のまま治らないの?」「ずっと治療が必要なの?」などと不安を感じる方も少なくありません。まずは、そもそも糖尿病とはどのような病気か、そして糖尿病が治らないといわれる理由を整理します。

糖尿病は1型・2型ともに慢性的に続く病気

糖尿病は、血液中のブドウ糖(血糖)が慢性的に高くなる病気です。代表的なものとして1型糖尿病と2型糖尿病がありますが、いずれも一時的な治療だけで完全に終わる病気ではなく、定期的な治療や生活管理が必要になります。

1型糖尿病は、インスリンをつくる膵臓の細胞が免疫システムの異常などによって破壊されインスリンがほとんど分泌できなくなる病気です。一方、2型糖尿病は、インスリンの分泌量が不足したりインスリンが効きにくくなったりすることで発症します。背景には、体質や加齢、食事、運動不足、肥満、ストレスなど複数の要因が関わっています。

仮に血糖値が改善したとしても、こうした体質やインスリンを分泌する仕組みそのものが完全に改善するわけではありません。生活習慣の乱れや体重増加などによっては、再び血糖値が悪化することがあります。このような特徴から、糖尿病は慢性的に付き合っていく病気と位置づけられています。

糖尿病は寛解できる

糖尿病は「治らない」と説明されることが多い一方で、近年では「寛解」という考え方が用いられるようになっています。

寛解とは、食事療法や運動療法、体重減少などによって血糖値が改善し、薬を使わなくても良好な血糖状態を維持できている状態を指します。特に、発症から比較的早い段階であれば、血糖値が大きく改善するケースもあります。

ただし、寛解は糖尿病が「完全に治った」という意味ではありません。生活習慣の乱れなどによって再び血糖値が悪化する可能性もあるため、継続的な管理や定期的な検査が必要になるのです。

完治と寛解の違い

「完治」は、病気そのものが完全になくなり、再発の心配がほとんどない状態を指します。しかし糖尿病では、血糖値が改善しても、インスリン分泌能の低下や体質的な背景が残ることが多いため、完治という表現は通常あまり使われません。

その代わりに用いられるのが「寛解」です。なお、糖尿病治療薬を使用していない状態でHbA1c 6.5%未満が3か月以上維持されている状況が、寛解の一つの目安とされています。

糖尿病の症状

糖尿病の症状

糖尿病は進行するまで自覚症状がほとんど現れず、健康診断で初めて血糖値の異常を指摘されたというケースは少なくありません。しかし、高血糖の状態が続くと、体はさまざまなサインを出すようになります。糖尿病ではどのような症状が現れるのでしょうか。

初期は自覚症状が少ない

糖尿病は、初期の段階ではほとんど症状がない病気です。特に2型糖尿病はゆっくり進行するため、血糖値が高くなっていても本人が異常に気づかないまま経過しやすい特徴があります。 そのため、会社の健康診断や人間ドックで血糖値やHbA1cの異常を指摘され、初めて糖尿病が見つかるケースも少なくありません。

初期には疲れやすさや食後の眠気などが現れることがありますが、加齢や忙しさによるものと思い込み、糖尿病の症状だと気づきにくい傾向があります。

進行すると現れる症状

糖尿病が進行すると、さまざまな症状が現れるようになります。

代表的な症状としては「喉が異常に乾く」「尿の回数が増える」といった変化です。これは、高血糖によって尿に糖が排出されるようになり、尿量が増えるため起こります。また、糖をエネルギーとしてうまく利用できなくなることで、体重減少やだるさ、疲れやすさにつながることもあります。

糖尿病を放置するリスク

糖尿病を放置するリスク

糖尿病初期は自覚症状が少ない一方で、高血糖の状態が長期間放置されると全身の血管や神経にダメージが蓄積していきます。糖尿病は治らないといわれる背景には、こうした慢性的な血管障害との関わりがあり、症状が軽いからと受診や治療を中断してしまうと、気づかないうちに合併症が進行してしまうことがあるのです。

3大合併症の発症

糖尿病を放置した場合、特に注意が必要なのが、「糖尿病神経障害」「糖尿病網膜症」「糖尿病腎症」という3つの合併症です。これらはいずれも、高血糖により全身の血管や神経がダメージを受けることで数年から十数年かけて進行していくのですが、放置すれば重篤な状態を招きます。

糖尿病神経障害

手足のしびれや痛み、感覚の鈍さなどが現れる合併症です。特に足先から症状が出やすく、「足の裏に紙が張り付いたような感覚」「熱さや痛みに気づきにくい」といった異常を感じる場合があります。進行すると歩行に支障が出る場合もあり、重症化すると足の壊疽(えそ)につながることもあります。

糖尿病網膜症

目の奥にある「網膜」の細い血管が高血糖によって傷つくことで起こる合併症です。初期はほとんど自覚症状がないため、気づかないまま進行するケースも少なくありません。しかし、進行すると視界がかすむ、黒い点が見える、視力が低下するといった症状が現れ、重症化すると失明につながる場合もあります。

糖尿病腎症

腎臓の細い血管が障害され、腎機能が徐々に低下していく合併症です。進行すると尿にたんぱくが出るようになり、むくみや倦怠感などが現れる場合があります。さらに悪化すると、腎臓が十分に働かなくなり、人工透析が必要になるケースもあります。

これらの合併症は、一度進行すると完全には元に戻らないケースもあるため、糖尿病が治らないと言われる理由の一つになっています。

動脈硬化による脳卒中・心筋梗塞リスク

糖尿病では、動脈硬化(血管が硬くもろくなり、血液の流れが悪くなる状態のこと)も進みやすくなります。特に問題となるのが、脳や心臓の血管への影響です。動脈硬化が進行すると、脳の血管が詰まる「脳梗塞」や、心臓の血管が詰まる「心筋梗塞」など、命に関わる病気を引き起こすリスクが高まります。

さらに、高血圧や脂質異常症、喫煙習慣、肥満などが重なると、より血管への負担はより大きくなります。自覚症状がほとんどないまま動脈硬化が進行し、ある日突然、重い病気を発症するケースも少なくありません。

糖尿病を改善するための治療

糖尿病を改善するための治療

糖尿病は治らないといわれる病気ですが、だからといって何をしても変わらないわけではありません。治療や生活習慣の見直しによって、血糖状態の改善を目指すことは可能です。ここからは、具体的な治療法について解説していきます。

食事療法

糖尿病の食事療法では、単に甘いものを避けるだけでなく、食事全体の量やバランスを整え、血糖値が急激に上がりにくい食べ方を意識する必要があります。食べ過ぎや間食、糖質に偏った食事が続くと、食後の高血糖が起こりやすくなり、血糖コントロールも難しくなります。

一方で、極端な制限は長続きしにくく、かえって食事管理の負担を強めてしまう場合があります。糖尿病は治らない病気だからこそ、短期間だけ頑張る食事ではなく、無理なく続けられる形を探していく姿勢が重要です。

運動療法

糖尿病の血糖コントロールに役立つ重要な治療の一つです。体を動かすと筋肉による糖の利用が促され、インスリンが働きやすい状態につながるといわれています。特に、ウォーキングなどの有酸素運動は血糖値の改善が期待でき、ややきついと感じる程度の運動を週150分以上、週3回以上行う方法が推奨されています。

なお、数日間まったく運動しない状態をつくらないといった工夫も大切です。そのため、通勤時に歩く、階段を使うなど、日常生活の中で体を動かす工夫は有効といえるでしょう。

さらに、筋力トレーニングを組み合わせると、筋肉量の維持や糖の処理能力の改善にもつながります。ただし、心臓病や腎症、網膜症などの合併症がある場合は運動内容に注意が必要なケースもあるため、自己判断で急に強い運動を始めるのではなく、医師に相談しながら無理のない範囲で続けましょう。

薬物療法

食事療法や運動療法だけで十分な血糖コントロールが得られない場合には、薬物療法を組み合わせます。薬を使う目的は、単に血糖値の数字を下げることだけではありません。高血糖による血管や神経へのダメージを抑え、合併症の発症や進行を防ぎ、生活の質を保つことも重要な目的です。

糖尿病治療薬には、インスリンの効きをよくする薬、インスリンの分泌を助ける薬、尿から糖を出しやすくする薬、食後の血糖上昇を抑える薬など、さまざまな種類がありますが、近年は、血糖値だけでなく体重や心臓・腎臓への影響も考慮しながら薬を選択することもあります。

糖尿病と長く付き合うために大切なこと

糖尿病と長く付き合うために大切なこと

繰り返しになりますが、糖尿病は完全には治らない病気です。そのため、どうすれば無理なく治療を続けられるかが重要になります。意識するべきポイントをお伝えします。

自己判断で治療を中断しない

血糖値が改善したり、自覚症状がなくなったりすると、「もう治ったのでは」と感じてしまう方もいます。しかし、自己判断で通院や薬を中断すると、再び高血糖が進行し、合併症のリスクが高まることがあります。

生活習慣の改善や薬物療法によって数値が安定しても、体質的な背景やインスリン分泌の低下そのものが完全に改善するわけではありません。症状がない場合でも、継続的に状態を確認しながら管理し続けることが重要です。

定期通院と血糖管理

定期的に血糖値やHbA1cを確認し、その時々の状態に合わせて治療内容を調整していく必要があります。血糖値は、体重の変化、加齢、食生活、運動量、ストレスなどさまざまな要因で変動するためです。

また、糖尿病では血糖値だけでなく、血圧や脂質、腎機能、眼の状態などを定期的に確認することも重要です。定期通院を続けることで、合併症の早期発見や重症化予防にもつながります。

無理なく治療を続ける工夫

糖尿病は、症状が少ない初期の段階から継続して治療に取り組むことが大切です。しかし、「血糖値を下げなければならない」と意識しすぎて完璧を求めてしまうと、かえって負担が大きくなり、食事制限や運動が苦痛になってしまう場合があります。

実際、厳しい制限を短期間だけ頑張っても、長続きしなければ血糖管理は安定しにくくなります。そのため、無理をするよりも、「続けられる方法」を見つけることが重要です。例えば、急に激しい運動を始めるのではなく、普段より少し多く歩く、間食を見直す、ジュースをお茶や水に変えるなど、小さな改善を積み重ねるだけでも血糖管理につながります。

糖尿病に関するよくある質問

糖尿病に関するよくある質問

糖尿病発症後の生活や薬の継続、家族への影響が気になる方も多いのではないでしょうか。ここでは、糖尿病についてよくある疑問を整理します。

糖尿病でも長生きできますか?

糖尿病は治らない病気ではありますが、血糖値を適切に管理することで、生活の質を落とさずに長生きすることができます。前提として、治療の目的は、単に血糖値を下げるだけではありません。

血管や神経へのダメージを抑え、糖尿病性腎症、糖尿病網膜症、糖尿病神経障害のほか、心筋梗塞や脳卒中などを防ぐ目的があります。定期通院を続けながら、血糖値だけでなく血圧、脂質、体重なども含めて管理していくことが重要です。

糖尿病はずっと薬を飲み続けないといけない?

糖尿病の薬を続けるかどうかは、糖尿病のタイプや血糖値、体重、合併症の有無、生活習慣の変化などによって異なるため、ご自身の状況を鑑みての判断となります。なお、薬を中止したあとに血糖値が再び悪化することもあるため、必ず医師の判断を仰ぐようにしましょう。

子供に遺伝しますか?

糖尿病は遺伝的な体質が関係することもあります。しかし、糖尿病は遺伝のみで決まる病気ではありません。食生活、運動不足、肥満、ストレス、加齢などが発症に関わります。そのため、必ず子供が糖尿病になるわけではありませんのでご安心ください。

まとめ

糖尿病は、完治はしない病気ですが、寛解を目指すことができる病気です。食事療法、運動療法、薬物療法などを組み合わせながら血糖値を適切に管理すれば、不自由ない生活を続けることは十分可能なのです。

一方で、糖尿病は自覚症状が少ないまま進行することも多く、自己判断で治療を中断してしまうと、気づかないうちに血管や神経へのダメージが進んでしまう場合があります。大切なのは、「完璧」を目指すことではなく、無理なく続けること。日々の小さな積み重ねが、将来の健康を守ることにつながります。

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