
肩こりや腰痛がなかなか改善せず、「湿布やマッサージでは改善しない」「慢性的な痛みをどうにかしたい」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
こうした慢性的な痛みや動かしづらさの原因のひとつとして、筋膜や組織の癒着が関係している場合があります。そのような症状にアプローチする治療として注目されているのが「ハイドロリリース」です。
そこで本記事では、ハイドロリリースで期待できる効果や持続期間、副作用についてわかりやすく丁寧に解説しますので、治療を検討される方はぜひ参考になさってください。
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ハイドロリリースとは?

ハイドロリリース(Hydro Release)とは、痛みや関節の可動域の改善およびしびれの改善を目的として筋膜同士の癒着や筋膜と周辺組織の癒着をHydro(液体)でRelease(剥離・緩める)する手技です。手技では届かない深い部位のこりや痛みを和らげる効果が期待できます。
美容目的との違い
ハイドロリリースと混同されがちな施術として、美容クリニックやサロンで行う「皮膚や脂肪・表情にボトックスやヒアルロン酸を注射する施術」があります。この方法は、薬剤の成分を直接組織に届けてむくみの改善やフェイスラインの調整を行う美容目的の施術です。
そのため、ハイドロリリースで行う筋膜の癒着を剥がしたり緩めたりという医療目的の施術とは異なる点に気を付けましょう。
筋膜リリースとの違い
またハイドロリリースと混同されがちな施術として、「筋膜リリース」が挙げられます。この方法は筋肉や筋膜の緊張緩和を目的として、マッサージやストレッチを行う施術です。
整体や自宅で実施でき、医療行為を伴わない点がハイドロリリースとの大きな違いです。
▽ハイドロリリースと似た施術の比較
| ハイドロリリース | 美容目的の施術 | 筋膜リリース | |
|---|---|---|---|
| 目的 | 痛みや可動域制限の改善 | 見た目の改善 | 筋肉や筋膜の緊張緩和 |
| 対象 | 筋膜・神経周囲組織 | 筋膜・神経周囲組織 | 筋膜・筋肉 |
| 方法 | 生理食塩水やステロイド薬などの注射を用いる | ボトックス・ヒアルロン酸注射や医療機器を用いる | 手技・フォームローラーなどを用いる |
| 実施者 | 医師 | 医療行為は医師医療行為を伴わないものはエステティシャンなど | 理学療法士・柔道整復師・整体師・本人など |
ハイドロリリースの効果が期待できる疾患・症状

ハイドロリリースは肩こりや腰痛をはじめ、症状の改善が期待できますが、ここではハイドロリリースの適応となる主な疾患や症状について解説します。
慢性的な肩こりや腰痛
肩こりや腰痛は、筋肉や筋膜の柔軟性低下や、織同士の癒着が原因となって起こります。このような状態で日常動作による負荷が繰り返されると、筋肉に余計な負担がかかってしまい痛みが慢性化しやすくなるのです。
そのため、ハイドロリリースによって組織同士の滑走性が良くなれば痛みの軽減効果が期待できます。
スポーツによる局所的な痛み
テニス肘やランナー膝のようにスポーツの中での繰り返しの動作が原因で生じる局所的な痛みに対しても、ハイドロリリースが用いられます。このような痛みも、筋肉や腱の周囲に負担がかかり組織同士の滑走性が低下していることが原因となっているケースが多いためです。
ハイドロリリースによって組織同士の動きを改善すると、運動時の痛みや動かしにくさを軽減する効果が期待できるのです。
四肢のしびれ
神経周囲の癒着や癒着による組織同士の滑走性の低下が腕や足のしびれの原因となっているケースもあります。そのようなケースでは、ハイドロリリースによって神経周囲の癒着を剥がすことで症状の軽減が期待できます。
トリガーポイントによる痛み
筋肉内に結成された結節のうち、外から力を加えるとそこから痛みやしびれが末梢に広がる点(圧痛点)をトリガーポイントといいます。長時間同じ姿勢で過ごすことや筋肉を使い過ぎることでトリガーポイントが発生しやすく、肩こりや腰痛の原因となっている場合も少なくありません。
ハイドロリリースはトリガーポイント周囲の筋膜や組織に直接アプローチできるため、筋緊張を緩和することにより痛みを軽減できるでしょう。
※ただし、原因によっては十分な効果が得られない場合もあるため、治療の適応については事前に医師による診察を受けることをおすすめします。
ハイドロリリースの効果

実際にハイドロリリースの治療を受けることでどのような効果があるのでしょうか。本項目では、ハイドロリリースの効果について詳しくご紹介します。
痛みの改善
筋膜や周囲組織の癒着によって痛みが生じている場合、癒着部位に液体を注入することで剥離でき、痛みの軽減が期待できます。例えば、歩行時の膝の痛み、慢性的な腰痛や肩こりの症状では筋膜や神経周囲組織の癒着がなくなることで痛みが軽減するケースがあります。
ただし、すべての痛みに有効とは限らない点に注意しましょう。骨の変形や重度の神経障害など根本的な原因が筋膜や神経周囲組織の癒着ではない場合、効果が期待できない可能性があります。
可動域の改善
筋膜や周囲組織の癒着によって関節の動きが制限されている場合には、癒着部位の組織の滑走性が改善されることで可動域の改善が期待できます。
例えば、真横を向くときに首が痛くて回らない、肩が上がりにくいといった症状では、組織同士の滑走性が改善することで日常動作での動かしやすさが改善するケースが多くみられます。
しびれの改善
神経周囲の組織に癒着や圧迫が生じている場合でも、癒着を改善することでしびれを軽減できるケースがあります。
ただし、しびれの症状は神経そのものに原因があるケースや椎間板ヘルニアなど様々な原因が考えられるため、すべてのケースでハイドロリリースが適応となるとは限りません。神経症状の原因について適切な診断が重要なため、まずはクリニックでご相談ください。
ハイドロリリースの治療について

ここでは、ハイドロリリースを行う際の治療の流れや費用について解説します。治療を検討されている方は、参考になさってください。
治療の流れ
まず医師による問診で視診や触診を行い、痛みや関節の可動域制限、しびれの原因を探ります。
問診で骨や関節の評価が必要と判断されると、次はレントゲンを撮ります。その際、筋肉や筋膜などレントゲンでは評価できないところに症状の原因がある場合は、超音波検査を併用します。
症状の原因が筋膜や周囲組織の癒着と考えられる場合に、ハイドロリリースを行うことで、動きが悪くなっているところを剥がして「痛み」と「動き」の改善を図ります。
実際には超音波で患部の状態を観察しながら、細い注射針を用いて癒着部位に生理食塩水を注入していく「エコーガイド下ハイドロリリース」が一般的な方法です。医師も患者もエコー画像をリアルタイムで見ながら施術を進めることができ、安全性の高い施術となっています。
なお、しびれに対する治療では、患部ではなく神経の通り道となる部分に注射することもあります。また患部に炎症が生じている場合では、注射の際に生理食塩水だけでなくステロイドを使用するケースもあります。
費用の目安
費用は医療機関や施術部位によって異なりますが、ときわ台ときわ通りクリニックでは以下の費用で実施しています。
※保険適用ではなく、自由診療となります。
- 初診料:3,300円(税込)
- 再診料:2,200円(税込)
- ハイドロリリース(両側):27,500円(税込)
なお、治療を検討する際は、費用だけで判断するのではなく、診察や検査によって症状の原因を適切に評価してもらえるか、治療内容について十分な説明を受けられるかといった点も確認することが大切です。詳しい費用や治療方針については、診察時に医師へご相談ください。
ハイドロリリースの効果が現れるまでの期間と持続期間

ハイドロリリースの効果が現れるまでの期間には個人差がありますが、治療直後から変化を実感する方もいらっしゃいます。一方で、症状の程度や原因によっては、効果を実感するまでに数日以上かかる場合もあります。
また、効果の持続期間にも個人差がありますが、数日から数週間程度が目安となります。なお、施術後はストレッチや運動療法、姿勢の改善などを組み合わせることで、より良い状態の維持が期待できます。症状によっては複数回の施術が提案される場合もあるため、詳細を確認されたい方はご相談ください。
ハイドロリリースは「効果がない」と言われる理由

ハイドロリリースは痛みや関節の可動域制限の根本的な原因へのアプローチとして効果の高い方法ですが、なかにはあまり効果を感じられないケースもあります。その理由について、詳しくご紹介します。
医師の経験や技術による差
ハイドロリリースの効果を実感するには、症状の原因部位が特定できていることが大前提です。特に超音波検査の手技は、医師の経験や技術によって精度が異なります。そのため原因部位が正しく描出できていない場合には、期待していた効果を十分に得られない可能性もあるでしょう。
痛みの根本原因が別にある
ハイドロリリースは筋膜や周囲組織の癒着が症状の原因となっている場合に有効な治療法です。そのため椎間板ヘルニアや他の関節疾患、神経障害が原因の場合はハイドロリリースのみではなく根本的な原因に対する適切な診断と治療が必要になります。
生活習慣や姿勢が変わっていない
せっかくハイドロリリースで筋膜や関節の動きを改善しても、その状態を維持できなければ再び痛みが発生したり、可動域に制限が起きたりしてしまうケースがあります。ハイドロリリースを実施した後も日常生活の中で姿勢改善やストレッチを意識的に取り入れて、筋膜の癒着や筋肉の緊張が起こりにくい状態をキープすることが大切です。
ハイドロリリースの副作用

ハイドロリリースは注射を用いる治療のため、穿刺や薬剤による副作用が起こることがあります。具体的な副作用について確認していきましょう。
注射後の痛みやだるさ
比較的よく見られる副作用です。注射は身体にダメージを与えるため、痛みやだるさを伴うケースがあります。痛みは数日で引く場合が多いですが、長引く場合には医療機関を受診しましょう。
内出血
内出血も通常は時間の経過とともに色調が変化して、1~2週間程度で回復します。
ただし、抗凝固薬(血液をサラサラにする薬)を服用している方や皮膚が薄い方、高齢者に多く見られるため、こちらも長引く場合には医師に相談することをおすすめします。
感染
稀なケースですが、穿刺部位から細菌が入ることで治療翌日ごろから穿刺部位に赤みや腫れ、痛みを伴うことがあります。軽い症状なら数日で引きますが、悪化して赤みや腫れが広がったり、発熱や倦怠感を伴ったりする場合は、早めに医療機関を受診しましょう。
気胸
非常に稀な副作用として、気胸が挙げられます。肩や首、背中など肺に近い部位で深部に注射をする場合、針が深く入ると気胸になるリスクがあるためです。
このリスクを回避するために、超音波検査を併用する医療機関が多くなっています。もし施術を行った医療機関が超音波検査を行っていない場合には、当該検査を実施している医療機関に変更することをおすすめします。
ハイドロリリースの注意点

ハイドロリリースは比較的安全性の高い治療法ですが、より確実な治療を受けるために知っておくべき注意点があります。治療を検討している方は、確認をしておきましょう。
施術後は無理をしない
ハイドロリリースの施術後は、注射した部位に過度な負担をかけないことが大切です。例えば、激しい運動や重労働、長時間の入浴や飲酒は控えることをおすすめします。
普段飲んでいる内服薬を医師に伝える
治療を受ける前には、現在服用している薬について医師へ伝えておきましょう。特に、血液をサラサラにする薬を服用している場合は、注射部位に内出血が生じやすくなったり、出血が止まりにくくなったりする可能性がありますので、医師に伝えておくとよいでしょう。
信頼できる医療機関を選ぶ
ハイドロリリースは、症状の原因となっている部位を正確に評価したうえで施術を行うことが重要です。そのため、治療を受ける際は、診察や検査を丁寧に行ってくれるか、治療内容や期待できる効果、副作用について十分な説明があるかを確認しましょう。疑問や不安にしっかり対応してくれる医療機関を選ぶことで、安心して治療を受けやすくなります。
ハイドロリリースに関するよくある質問

最後に、ハイドロリリースを検討している患者様からよくいただく質問について回答します。
ハイドロリリースは1回でも効果はありますか?
1回でも十分に改善を実感する方も多いです。ただし、症状によっては十分な改善を得るまでに複数回の施術が必要となる場合もありますので、詳しくは診察時に医師へご相談ください。
ハイドロリリースの治療に伴う痛みや副作用はありますか?
注射を行いますので、チクっとした痛みを感じます。また、施術後には一時的な痛みやだるさ、内出血、腫れなどが生じる場合があります。多くは数日程度で改善しますが、症状が長引く場合や気になる症状がある場合は、施術を受けた医療機関へご相談ください。
ハイドロリリースは何回くらい受ければいいですか?
個人差がありますので、1回で症状が改善してリハビリや自宅でのストレッチで済む場合もありますが、症状の程度によっては複数回の治療が必要となるケースもあります。施術後の経過を確認しながら、医師と相談のうえで治療方針を決定します。
ハイドロリリースは保険適用されますか?
ハイドロリリースは自由診療として行われるケースが多いですが、一部保険適用となる場合もあります。ただし、保険適用の可否は医療機関によって異なるため、事前に確認しておくことが大切です。また、保険診療には適用条件が定められている場合があるため、詳しくは受診予定の医療機関へお問い合わせください。
まとめ

ハイドロリリースは、筋膜や神経周囲組織の癒着に対して生理食塩水などを注入し、痛みや可動域制限、しびれの改善を目指す治療法です。
まずは症状の原因を正しく見極めることが重要で、症状によってはハイドロリリースが適している場合もあれば、別の治療法が必要となる場合もあります。
長引く肩こりや腰痛、しびれ、関節の動かしにくさでお悩みの方は、一度専門医へ相談してみてはいかがでしょうか。



